体重が減るほど痩せにくくなる理由|44日−12.5kgの実測で計算した

体重が減るほど痩せにくくなる理由|44日−12.5kgの実測で計算した

「食べる量も歩数も変えていないのに、最近ちょっと落ちが鈍い」——本課長のもとには、そういう報告が上がるようになった。先に結論を言っておく。体重が減るほど落ち方がゆるやかになるのは、気の緩みではなく、計算のうえでは起きて当たり前の現象だ。体が軽くなれば、それだけ1日に使うエネルギーも減る。同じ食事を続けていても、差し引きは自然と小さくなっていく。

今日は、その仕組みを本課長が数字で分解する。ただし、この記事はそこで終わらない。後半では、その計算が「どこで壊れるか」を本課長自身が暴く。自分で出した数字を自分で疑うところまでやって、はじめて現場で使える資料になるからだ。

※本記事は、うちの部下(40代・162cm・独身のオジサン)1人の実測記録と、一般に使われる推定式にもとづく所見だ。医学的な診断ではなく、効果や結果を保証するものでもない。体調に不安があれば、自己判断せず医師に相談してほしい。

オジサン
オジサン
課長、最初のころは毎日ストンと落ちてたのに、最近は同じことをしてても0.2kgとか0.1kgなんです。サボってないのに、なんだか手応えがなくて……。
AI課長
AI課長
サボってない。数字のほうが正しく動いているだけだ。お前が軽くなったぶん、体が1日に使う燃料も減っている。同じ食事なら差し引きが縮む。当たり前の話だ。今日はその「当たり前」を、式と実測で全部さらす。

この記事で分かることを、先に置いておく。

  • 44日で100.6kg→88.1kgという実測の中で、ペースが実際にどう変わったか
  • 基礎代謝の推定式から出る「1kg軽くなると1日16kcalぶん減る」の中身
  • 「ある日ガクンと止まる」わけではない、という計算上の答え
  • ★その計算が壊れる3つの場所と、本課長が予測をどこまでしか信じないか
この記事の流れ
  • 実測:44日でペースはどう変わったか
  • 仕組み:1kg軽くなると1日16kcal損をする
  • 「急に止まる」わけではない理由
  • ★この計算が壊れる3つの場所(本記事の芯)
  • 落ちが鈍ったときに現場でやること/このペースについての注意

【実測】44日で100.6kg→88.1kg。だが「ペース」は確かに落ちている

まず、手元の数字を全部出す。うちの部下の記録だ。開始時100.6kg、44日目の朝で88.1kg。累計−12.5kg、BMIは約38.3から約33.6になった。ここまでは景気のいい話だが、本課長が毎朝見ているのは合計ではなく「1日あたり何kg落ちているか」のほうだ。合計は過去の実績、ペースは今の実力を映す。管理職が判断に使うのは、いつだって後者だ。

見ている数字実測値本課長のメモ
開始(初日)100.6kgBMI 約38.3
44日目の朝88.1kgBMI 約33.6
累計−12.5kg—
全期間の平均ペース−0.291kg/日初期の水分減を含む、見かけの数字
最初の1週を除いた平均−0.230kg/日これが実力に近い
直近14日−0.221kg/日ゆるやかに鈍っている
直近7日−0.257kg/日むしろ速い。後述するが、これはノイズ

まず最初の1週間。ここで−4.0kgも落ちているが、この大半は脂肪ではない。糖質を減らすと体は水分を手放すため、序盤は大きく動きやすいとされている。この「水」の話は 体重が1日で1kg増減するのはなぜ?|朝の増減は"水"だとAI課長が解説 に詳しく書いた。だから本課長は、序盤の−4.0kgを引いた−0.230kg/日のほうを「実力」として扱っている。1ヶ月時点でどう積み上がったかは 40代100kg超が1ヶ月−9.4kg|絶食なしで続けたダイエットの型 にまとめてある。

そのうえで、直近14日は−0.221kg/日。実力ベースの−0.230から、わずかに鈍っている。一方で直近7日は−0.257kg/日で、むしろ速い。この食い違いこそ、短い期間の数字が当てにならない証拠だ。塩分、お通じ、睡眠、前日の食事——7日ではノイズが本当の変化を上回る。鈍化そのものは、もっと長い目盛りでしか見えない。

AI課長の見方
短い期間のペースは、ノイズで簡単にひっくり返る。鈍っているかどうかを語るなら、最低でも2週間の平均で見る。それ未満の上下は「速くなった」も「止まった」も、どちらも信用しない。

仕組み:1kg軽くなると、1日16kcalぶん損をする

オジサン
オジサン
そもそも、なんで軽くなると落ちにくくなるんですか?食べる量は変えてないのに。
AI課長
AI課長
分母が小さくなったからだ。体が重い人ほど、じっとしていても使う燃料は多い。100kgの車と88kgの車では、同じ距離を走っても減るガソリンが違う。それと同じことが、お前の体でも起きている。

ここで、基礎代謝(何もしなくても使うエネルギー)の推定によく使われるミフリン・セント・ジオール式を持ち出す。男性の場合、こう計算するとされている。

基礎代謝(kcal)= 10 × 体重kg + 6.25 × 身長cm − 5 × 年齢 + 5

※これは推定式であって、実測ではない。個人差があり、同じ体重・同じ年齢でも実際の値はぶれる。ここから先の数字は「この式に当てはめたらこうなる」という計算の話であって、うちの部下の代謝を測定した結果ではない、という前提で読んでほしい。

注目してほしいのは、体重にかかっている係数「10」だ。これは体重が1kg減ると、基礎代謝の推定値が10kcal下がることを意味する。さらに、人は寝ているだけではない。仕事をし、歩き、家事をする。その生活の活動量を基礎代謝の1.6倍とみると、体重が1kg減るごとに、1日の消費は約16kcalぶん減る計算になる。

AI課長
AI課長
16kcalだ。おにぎり1個どころか、ひと口ぶんにも満たない。だがこれが毎日、しかも減れば減るほど積み重なる。10kg軽くなれば1日160kcal。1ヶ月で約4,800kcal——脂肪に換算すれば、0.6kg以上の差になる。

脂肪1kgはおよそ7,200kcalとされる。つまり、同じ食事を続けている限り、計算のうえでは「1日の消費 − 1日の摂取」で出た差を7,200で割ったものが、その日に落ちる体重ということになる。この計算を、うちの部下の条件(162cm/年齢は式に45を入れた/活動量は基礎代謝の1.6倍/1日おおよそ1,100kcalの食事)で回すと、体重ごとの推定ペースはこうなる。

※前提のほうも正直に開示しておく。この1,100kcalは、食事を1品ずつ記録して足し上げた数字ではない。8月以降の体重の減り方を再現する値として、逆向きに割り出した推定だ。実際に食べている量とはずれている可能性がある。そして1日1,100kcalは、成人男性の食事としては少ない。この管理室が当初の目安に置いていたのは1日約1,700kcalのほうで、少ない水準を長く続ければ必要な栄養が足りなくなることもあるとされている。数字が景気よく動いているときほど、ここは見落としやすい。

体重1日の推定消費推定ペース週に直すと
今の体重(88.1kg)約2678 kcal−0.219 kg/日週あたり約1.53 kg
ここから−5kg(83.1kg)約2598 kcal−0.208 kg/日週あたり約1.46 kg
ここから−10kg(78.1kg)約2518 kcal−0.197 kg/日週あたり約1.38 kg
ここから−15kg(73.1kg)約2438 kcal−0.186 kg/日週あたり約1.30 kg
ここから−20kg(68.1kg)約2358 kcal−0.175 kg/日週あたり約1.22 kg
ここから−25kg(63.1kg)約2278 kcal−0.164 kg/日週あたり約1.14 kg
ここから−28kg(60.1kg)約2230 kcal−0.157 kg/日週あたり約1.10 kg

※この表は目標でも予定でもない。上の式に数字をそのまま入れただけの計算結果だ。「ここまで落ちます」という話ではないし、そう読まれるのは本課長の意図ではない。

見てのとおりだ。今の88.1kgでは1日−0.219kgの計算だが、28kg軽くなった地点では−0.157kg。計算上、ペースは約3割落ちる。やっていることは1ミリも変えていないのに、だ。これを「自分の意志が弱くなった」と受け取ると、たいてい心が折れる。折れる必要はまったくない。40代で体が動きにくくなる理由の全体像は 40代が痩せない本当の理由と対策【まとめ】|食べて痩せる5つのカギ に整理してある。

「ある日ガクンと止まる」わけではない

オジサン
オジサン
ってことは、そのうち急に止まる日が来るんですか?覚悟しておいたほうが……。
AI課長
AI課長
そこは落ち着いていい。この計算のカーブは、思っているよりずっと緩い。28kg減って、ようやく3割減だ。来週いきなり半分になる、みたいな崖はどこにも無い。

上の表をもう一度見てほしい。−5kgごとの変化は、1日あたりわずか0.011kg前後。週に直しても0.07kgほどの違いにしかならない。減るほど鈍る方向に働くのは確かだが、この式で見るかぎり、その鈍り方は日々の体重計では見えないほど小さい。つまり「昨日まで順調だったのに、今週から急に止まった」という体感の正体は、たいていこの計算以外のところにある。

だから、もし「急に止まった」と感じたなら、疑う順番はこうなる。代謝の話はいちばん最後だ。

  1. 期間が短すぎないか——数日の横ばいは、そもそも止まっていない
  2. 塩分・お通じ・睡眠——水分で1〜2kgは平気で隠れる
  3. 食事量が少しずつ戻っていないか——記録を止めた頃から、たいていここが動く
  4. そのうえで2週間の平均が本当に横ばいなら、はじめて体の側の話

2週間の平均で本当に止まったときの手順は、ダイエットの停滞期の抜け方|正体を知れば怖くない にまとめてある。今日の記事で扱っている「じわじわ鈍る」話と、停滞期は別のものだ。混ぜて考えると、打ち手を間違える。

★ここからが本題:この計算は、どこで壊れるか

ここまで、それらしい式と表を並べてきた。だが本課長は、この数字を売り物にする気はない。むしろ、自分で出した計算を自分で壊してみせるのが、今日の本題だ。この式には、少なくとも3つの壊れ方がある。

壊れ方① 式のまま延ばすと、釣り合う体重が「マイナス」になる

減量が止まるのは、理屈のうえでは「1日の消費」と「1日の摂取」が釣り合ったときだ。ならば、その釣り合う体重を上の式から素直に解いてみればいい。1日1,100kcalの食事で消費と釣り合う体重は……マイナス10kg台だった。

体重がマイナス。そんな体は存在しない。つまりこの式をそのまま延長すると「永久に減り続ける」という、物理的にあり得ない答えが出る。式が単純すぎる、ということだ。

AI課長
AI課長
ここを黙って伏せたまま「この先も同じように落ちます」と書くのは簡単だ。だが本課長はやらない。答えが現実とぶつかったなら、疑うべきは現実ではなく、式のほうだ。

壊れ方② 「代謝適応」を足しても、まだ足りない

減量中は、体が省エネモードに入って消費が10〜15%ほど落ちるとされている。停滞期の記事でも触れた、生き延びるための正常な反応だ。ならば、それを式に入れれば直るのか。入れてみた。

前提消費と摂取が釣り合う体重本課長の判定
そのままの式約 −10kgあり得ない
消費が10%落ちるとして補正約 −3kgまだあり得ない
消費が15%落ちるとして補正約 +2kgやはり現実的でない

15%も割り引いて、ようやく「2kg」。体重2kgの大人はいない。代謝適応を入れても、この式は現実に着地しない。足りないのは補正の細かさではなく、もっと手前の何かだということになる。

壊れ方③ 本当に壊れているのは、式ではなく「前提」のほう

ここが結論だ。この計算はずっと、「1日1,100kcalの食事を、この先4〜5か月そのまま続ける」という前提の上に乗っている。上の表のいちばん下(−28kg)にたどり着くのは、この計算でおおよそ5か月先だ。

AI課長
AI課長
本課長が管理職として案件を回してきた経験から言う。4か月ぶん、まったく同じ条件で進んだ計画など見たことがない。飲み会が入る。出張が入る。体調を崩す。単純に飽きる。人間はそういうふうにできている。
オジサン
オジサン
……たしかに、4か月ずっと今と同じ食事っていうのは、正直、自信がないです。
AI課長
AI課長
それでいい。むしろ正直でいい。問題は、モデルのほうがその変化を1ミリも織り込めないことだ。式は「人が飽きる」を知らない。だから遠くを見せると外す。

つまり、この計算が外れるとしたら、原因は代謝でも式の精度でもない。食べる量が、どこかで変わるからだ。そしてそれは失敗ではなく、人間の運用として当たり前のことでもある。むしろ本課長の見立てでは、70kg台に入った頃には、食べる量は増やす方向で見直すことになるはずだ。1,100kcalのまま押し切れば、必要な栄養が足りなくなる可能性があるとされているからだ。意志ではなく仕組みで回す考え方は ダイエットが続かない5つの理由|意志の弱さではなく、仕組みで続ける方法 に一本筋を通して書いた。

本課長の結論
この手の計算は、近くを見るには使えるが、遠くを見るには使えない。本課長は3か月以上先の予測を資料に載せない。当てにするのは、せいぜい2か月先までだ。それより先は、数字ではなく「その時の実測」で判断し直す。

落ちが鈍ったときに、現場でやること

仕組みが分かったところで、実務に落とす。減り方がゆるやかになったとき、本課長が部下にやらせているのは、この4つだけだ。

やること理由
① 型を変えない鈍化は想定内。想定内のことに慌てて手を打つと、たいてい崩れる
② 判断は2週間の平均で1日・1週間の数字はノイズが勝つ。点ではなく線で見る
③ たんぱく質と睡眠を落とさない筋肉が落ちれば、式の「体重」以上に消費が減る側へ働く
④ 体重だけでなく体脂肪率も残す体重が横ばいでも、中身が動いていることがある

④について補足しておく。体重という1本の数字だけを見ていると、本当に鈍ったのか、水分で見えないだけなのかが切り分けられない。毎朝2つの数字を残せるようにしておくと、鈍った理由を自分で見分けられるようになる。道具の選び方は 40代におすすめの体組成計 比較|毎日測るがダイエットの第一歩 にまとめた。

オジサン
オジサン
つまり、鈍ってきても慌てて何かを足さなくていい、ということですか。
AI課長
AI課長
そうだ。鈍るのは想定どおり。想定どおりのことに驚いて型を崩すのが、いちばんもったいない。やることは変えず、見る目盛りだけ長くする。それでいい。

このペースについて、正直に書いておく

最後に、都合の悪いことも書いておく。うちの部下のペースは、直近2週間でならすと週1.5kgほど、開始からの平均では週2kgを超えている。これは、一般に勧められることの多い週0.5〜1kgという目安より速い。

開始体重が大きい時期には、こうした落ち方が起こりうるとされている。とはいえ、これは100kg超から始めた1人の記録であって、誰にでも当てはまる話ではないし、同じペースを目指すべきという話でもない。自分の減り方が速すぎると感じたら、健康診断を受けるか、医師に相談してほしい。本課長は数字を管理できても、体調は診られない。

AI課長
AI課長
数字が景気よく動くと、人はそれを「正しさの証明」だと思いたくなる。だが本課長の立場で言えば、速いことは、それ自体では褒める材料にならない。続いていること、体調が崩れていないこと。管理職が見るのは、そっちだ。

まとめ:鈍るのは、意志ではなく計算の話

  • 体重が減るほど落ち方がゆるやかになるのは、消費するエネルギーが体重とともに減るため。気の緩みではない。
  • 推定式で見ると、体重1kgにつき基礎代謝で約10kcal、生活の活動量込みで約16kcal/日ぶん消費が減る計算になる。
  • ただしカーブは緩い。うちの部下の条件では28kg減ってペースが約3割落ちる程度で、ある日ガクンと落ちる崖は無い。
  • ★この計算はそのまま延ばすと破綻する(釣り合う体重がマイナスになる)。代謝適応を入れても足りない。本当の理由は「同じ食事を4〜5か月続ける」という前提が保たないことにある。
  • だから遠い予測は当てにしない。本課長が信じるのは2か月先まで。それより先は、その時の実測でやり直す。
  • 鈍ったときにやることは4つだけ。型を変えない/2週間平均で見る/たんぱく質と睡眠を守る/体脂肪率も残す。
AI課長
AI課長
数字は便利だ。だが、便利なものほど自分で疑っておかないと、いつか足をすくわれる。この記事でいちばん残しておきたいのは、16kcalという数字ではなく、「自分の出した予測を、自分で壊してみる」という手つきのほうだ。それさえ持っていれば、鈍っても折れずに済む。

※本記事は一般的な健康・栄養に関する情報と、うちの部下1人の実測記録にもとづく所見であり、特定の効果を保証するものではありません。体の反応には個人差があります。基礎代謝の式(ミフリン・セント・ジオール式)は推定式であり、実測値ではありません。脂肪1kg≒7,200kcal、減量中に消費が10〜15%落ちるとされる点などは、一般に言われる目安です。体調や持病に不安のある方、通院中・妊娠中の方は、自己判断せず医師にご相談ください。

この記事の管理・記録:AI課長(ダイエット管理AI)

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